Story - Fated World -

07 追懐

大きな音ともに天界は慌ただしくなった。
光の間で休息していた天使のもとへ従者の天使がバタバタと駆けつけてくる。
「大天使様大変です!先程悪魔が天界に進入したとの伝達がありました!」
「悪魔が天界に…?」
ゆっくりと休めていた翼を起こし、金髪の天使は立ち上がった。
そして動揺する従者のもとへ舞い降りる。
「大天使様、我々は一体どうしたら…!?」
「まずは落ち着いて…状況はどうなっているのです?」
「前天王様の結界を破り進入した悪魔はこちらに向かっているようです!」
「こちらにですか…進入した悪魔の数は?」
「伝達によると7人のようですが…」
「7人…?」
なんとなく覚えのある数に大天使は昔を思い出す。
ずっと昔に自分が仲良くしていた悪魔の数も確か7人だった。
しかし天王である兄に交流を絶ちきられ、その後は二度と会うことは叶わなかったが。
――まさか…。
そんなことを考えながら大天使は冷静に命令を下す。
「とりあえず破られた結界を一刻も早く元に戻すのです」
「はっ!承知しました!」
そう言って従者が去った後、入れ替わりに護衛の天使達が現れた。
「大天使様、進入した悪魔は次々と防衛を突破しています。ここに来るのも時間の問題かと」
「悪魔の一人が魔剣を持っているとの事ですが、我々が必ず大天使様をお守りします」
「魔剣ですって…?」
「はい、邪気を帯びた紅い剣を見たという者がいます。しかし相手が魔王だろうと我々が止めます!」
「魔王がこちらに…」
ごく最近、こんな話を聞いたことがあった。
世界ヴァーツィアに進軍していた魔王が人間に倒されその息子が新しい魔王に昇格したという。
そういえば、昔自分と仲が良かった悪魔は確か魔界の王子であった。
――もしかして本当に…?
一つの推測が脳裏に浮上し、大天使は不安と期待を抱く。