を創り、愛していた。愛するが故に、を護ろうとしていた。
に誕生した世界。溢れる生命。流れる時間。
のすべてを愛し、慈しむ。

しかし、のものではない。
目に見えぬ腐敗。汚れる空気。崩れ行く大地。消滅する妖精。
永い時間はを浸食し始めていた。
気付かないうちに蝕まれ、崩壊の一途を辿る。
このままでは愛するが壊れてしまう。

しかし、のものではない。
に接触することは叶わない。

だからは、神託を下した。人という生命に。

選ばれた者は神子となる。
の声を唯一聞く人の子は、を救うとなるだろう。



* * *



麗しき神子の辿る運命 すべてを知っているはずなのに本当は何も知らない
「誰に何を言われようが私は神子。この称号という鎖は外せない」

ミュウアリー・ローノ・ファディック

少女が旅する目的 すべては弟のために
「あの子の代わりに私は世界を見るわ。それが私に出来ることだから」

ルルネス・カリオスタ

裏に潜むのは抗えぬ絶対的権力
「人々が不安を抱くことなく生活できるのは、我々神教徒があるからだ」

ザナト・ハーエン・ケーウィング

最後に綴られたのは 忘れてはならない言葉
「リト、お前はいったい何をしようとしていたんだ……?」

メーゼ・クェンツ・イエリア

身近であるからこそ背いてはいけない
「神子様一人に負荷を掛けるなんて、可哀想です!」

スクルツィー・ゼオ・フランドーレ

届きそうで届かない だからこそ愛おしく想う
「大丈夫だよ姉さん。僕は姉さんが思うほど弱い人間じゃない」

ロファーラ・カリオスタ

すべてを知った 命を懸けるのは自分だけでいい
「愛しすぎると全部壊れてしまう……私は神を裏切ってなどいません」

リト・ローノ・サーディエ



始まりはここにあり 終焉もまたここにある
を救うために神託は下される
―― 禁術を捜し出し、抹消せよ。近々崩壊が訪れる。世界を救済するため君は選ばれたのだ。


すべては我が愛するを救うために。