Story - Fated World -

09 そして未来へ

どこか遠い場所。
彼らを見守っていた青年は優しく微笑んだ。
いつか世界で云われていたこと…

『悪魔と天使は敵同士』
『悪魔と天使は仲良くなんてなれない』

そんなことをふと思い出しながら誰にともなく呟く。
「いったいいつ誰がそんなことを決めたのだろうな…」
今長い時を経て、ようやく出逢った彼らを見ても同じことが言えるだろうか。
そう、すべては世論でしかない。
残された歴史や外見からでは決められない論理がこの世界にはある。
世界は広く、果てしない。
だからこそ無限の可能性が至る所に眠っている。
「でも、君達が本当に大変なのはこれからなんだ」
忘れてはならない。
どう抗いても避けては通れない道もある。
すべての道が幸せに辿り着くわけじゃないということ。
彼らにもそんなときが必ず訪れるだろう。


――我らの希望は過ちだったのか…?――


「君達の未来は、君達自身が創り上げていくものだよ」
届かない声を残し、その青年は空の彼方へと消えていった。



end