紅と蒼の翼 … [時の調べ]
あるとき疑問を抱いたのは紅き翼を持つ少年。
「僕らの世界にはいつも太陽がある。太陽のない世界はどんなものだろう?
僕はそんな世界を見てみたいんだ」
いつもはうとうとと眠くなってしまう時間。
太陽が沈み始めた世界。
抗えぬ睡魔と格闘しながら、少年の瞳は輝いていた。
ふと不思議に考えていたのは蒼き翼を持つ少女。
「私達の世界にはいつも月がある。月のない世界とはどんなものなのだろう?
私はそんな世界を見てみたいの」
いつもはぐっすりと深い眠りについている時間。
月が昇り始める前の世界。
離れぬ睡魔に逆らいながら、少女の心は煌めいていた。
出会いは空が朱色に染まった時間。
大空を滑空する紅い翼。
大海を浮上する蒼い翼。
照らすのは夕陽、浮かぶのは夕月。
彼らを映し出した広い世界で、初めて互いの存在を知った。
『ずっと逢いたかった』
少年と少女が交わす時の調べ。
彼らの未来は今動き始めた。
- END -
掲載時期不明。時の輪廻の続きです。