Endear RR
パウダースノーショコラ
空が朱色に染まった夕刻。隊任務を終えたばかりのレイエは両手に荷物を下げていた。大きな紙袋から赤いリボンやピンクのハート柄など色鮮やかに包まれた箱が顔を覗かせており、本人が買い集めたものではないらしい。
いつものように彼の隣を歩いていたルインはそれらを横目で見やり、少しばかり圧倒された表情を浮かべていた。
「レイエ、まさかそれ全部……お菓子か?」
「そうだよ。バレンタインデーで、たくさん貰っちゃった」
暦で言うと本日は氷雪月・光刻14日。世間一般にはバレンタインデーと呼ばれ、女性から男性へ甘いお菓子を贈る日とされている。ルインとレイエが所属する騎士魔導隊でもその世間的な風習は例外ではなかった。一部の女性隊員たちは通常任務をこなしつつ、休憩時間などの合間に男性隊員へ菓子包みを手渡す場面が各所で見られた。
レイエも贈り物を受け取った一人なのだろう。普段は同行者として彼と同じ任務につくルインだったが、今日はクラス別の市街地警備巡回任務が配分されていた。戦闘訓練に召集されたレイエとは丸一日別行動をとっていたため、紙袋の品々を誰から受け取ったのか知りようもない。
溢れそうな小包を見て、一人が貰う数にしてはかなり多いのでは、そう感じる。この結果は、数多の女性隊員が彼に好意があるということなのか。〝彼の彼女〟という〝自分〟が居ながらにして……?
ルインはレイエに尋ねた。
「こんなに、一体誰から貰ったんだ」
「えーっと、今日は人に会うたび貰ったからなぁ……」
彼は空を仰ぎながら応える。
「隊ではジオ副長と警備隊のオーレウ副官」
「ジオ副長は朝みんなに配っていたな、私も貰ったんだ。自分の配下全員分を用意していたのだろうか」
「副長は気前がいいからな! オーレウ副官もそうだけど、女性の指揮官クラスはみんな配っているみたいだった」
「そうなのか」
「休憩中に城内を歩いていたらジェシカとサリーに会って、それから通りがけの女子隊員からも貰って……」
「ジェシカとサリー?」
「二人で配り回っていたらしい。でも隊で配る人は全部ばらまきでしょ? 男隊員はみんな同じくらい貰っているんじゃないかなぁ。俺だけが貰えてるわけじゃないよ」
「ふーん……みんな、バレンタインが好きなんだな」
言葉を返しながらルインは考える。彼女はこういった風習には関心がない人間なのである。日頃お世話になっている人には、感謝の意を込めて渡したいとは考えてはいるのだが……愛想をよくする行為へ抵抗を感じてしまう性分だ。
レイエは楽しそうに話を続ける。
「まぁ貰う側は嬉しいよね。その分返さないといけないけど」
「それ全部、返すのか?」
「もちろん、貰ったものは返さないとな! ……あ、でも知らない人たちはどうしようかな」
きっぱりと言い放ったレイエは思い立ったように問答し始めた。名前も知らなければ顔もよく覚えていないんだよな、他の部隊には違いないけど。誰かに聞けばなんとかなるかな?
一人呟く彼の横でルインは目を丸くする。全員にお返ししようとする心意気に少しだけ感心し、言葉を零した。
「そういうところは真面目だな」
それを聞いた彼はにこりと笑んで、嬉しそうな眼差しを向ける。
「俺はいつだって真面目だよ。今更見直したの?」
レイエの無邪気な顔立ちが、やけに眩しく思えた。
つい視線を逸らしてしまったルインは、「まぁ、悪くはない」とやんわり応じるのだった。
「それで、ルイン」
騎士隊用通路を歩きながら、レイエが改まったように口を開く。
「何?」
「俺、ルインからまだ貰っていないんだけど……」
疑問を口にした彼の表情は、言葉とは裏腹に「くれるんだよね」と期待を物語っていた。「それは」と言いかけたルインは、ふと彼の両手荷物へ視線を向けて、しばし何かを思案する。
やがて、はっきりした口調で続きを告げた。
「そんなに貰っているなら、私が渡す必要はないな」
「え!? なんで?」
レイエは首を傾げた。確かにたくさん貰ったけど、と付け加えながら「ルインはパートナーだし、俺の恋人だよね」と彼女の顔色を伺う。しかし、「パートナーや恋人という間柄は今、関係ない話だ」というルインの一貫した意志が返ってきた。
「ええっ!? いや、でも俺は ──」
想定外な展開にレイエは慌てた。今日一番楽しみにしていたのは他でもない、そう彼女に本音を伝えようとしたのだが、ルインは凛とした表情で口を挟んだ。
「すまないがレイエ、私はこれから用事があるんだ。喫茶店には寄らず真っ直ぐ帰らせてもらう。マスターによろしく伝えておいてくれ」
二人はちょうど城門前通りの交差点へ歩き着いたところだった。言伝を預けたルインは踵を返し、宿舎のある通りへ向けて足を踏み出している。
「え? 帰る? ちょっと待ってよ……ねぇ、ルイン!?」
急な話に困惑したレイエは引き留めようと声を掛けた。だが、ルインは気にも留めず足早に背を向けている。後を追おうとするものの、両手に下げた荷物がずしりと重く響いたため、すぐに走り出せない。手荷物をまとめようとするうち、気が付くと彼女の姿は行き交う人並みの中へと消え失せていた。
レイエは呆然としたまま、立ち尽くすしかなかった。
路地裏通りにある喫茶店・盗めない鍵。隠れ家のようなこの場所は、夕暮れ時になると仕事を終えた常連客らがふらりと集い始める。
賑やかな店内に扉の呼び鈴がチリーンと鳴り響いた。いつもの定刻を知らせる音色に、喫茶店のマスター・アグレンツは誰が来店したのか勘付いた。客との話を上手く切り上げて、入り口に程近いカウンター席にもたれ掛かった顔見知り ── 王国軍の制服を着た蒼髪の青年へ声を掛ける。
「おかえりレイエ。どうしたんだ、その顔は? ルインは一緒じゃないのか」
「マスター……ルインは用事があるから、帰るって」
暗い表情に一段と低い声色。見るからに落ち込んでいる若者の様子にアグレンツは眉を顰める。今朝方の彼は「マスター、行ってくる!」と爽やかな振る舞いで出勤したはずだった。隊任務で何かミスでもしたのだろうか。
アグレンツはひとまずテーブルにどさっと置かれた紙袋を見やり、尋ねた。
「この紙袋は……ああ、今日はバレンタインデーか。たくさん貰えたようで良かったな」
「良くない。ぜんぜん良くないよ」
「良くない? 甘いもの、お菓子はお前の大好物だろう」
アグレンツの言葉にレイエは大きなため息をついた。好きな物を受け取って尚、元気が出ないようだ。
いつもにこやかな顔を見せる青年が、ここまで沈む姿は珍しい。喫茶を運営する中、悩める客の相談話を幾度となく聞いてきたアグレンツは、年頃の彼に余程のことがあったのだろうと推察した。
しばらくしてから、レイエの覇気のない声が返ってきた。
「これは全部、隊で貰ったやつだよ。でも、俺が欲しかったものは……ここにない」
彼が最も欲するものに心当たりがある。さきほど毎日連れ合う彼女が共に来なかった話を思い返して、アグレンツはすぐに理解した。
「なるほど。レイエ、本命の相棒からまだ貰えていないのか」
そう確信を告げると、レイエは「うん」と小さく頷き、カウンターテーブルへと項垂れた。
「さっき帰りに訊いたんだ……そしたら、〝そんなに貰っているなら渡す必要はない〟って言われて」
「ほう、先を急いでしまったわけだな」
「だって! 去年も一昨年も、ルインはなんだかんだで俺にくれたんだ。今年も気になってつい……」
レイエは再び大きく息をつく。アグレンツに言われた通り、確かに先を急いてしまった。恋人同士なのだから、自分から貰える前提で話を振ったことは勝手だなと、今になってじわりと心に堪えている。
自分を蔑む気持ちをどうにかしたくて、レイエは本音を曝け出していた。
「ねぇマスター……俺、ルインに嫌われたのかなぁ」
「なんだ急に? そんなことはないだろう」
「貰ってないって話した途端、急に今日は真っ直ぐ帰るって言われたんだよ? 絶対あいつの気分を悪くさせたんだ……嫌われた以外に何がある?」
「私に、ルインの真意は知りようもないが……帰宅することは今日に限ったことじゃない、前にも何度かあったことだ。それにもし嫌いなら、彼女はそういう相手とは口を利かないと思うが」
他の理由があるんじゃないのか、と続けるアグレンツの慰めにレイエは少し思考を巡らせる。
「そっか……他の理由、用事があるとは言っていたけど」
「レイエ、考え過ぎは良くない。己の推測で話をするもんじゃないぞ」
「まぁ、そうだね……」
レイエが静かに頷くと「マスター、そろそろ次のオーダーを頼むよ!」と客からの声が上がった。「ああ悪い、今戻るから」とアグレンツは振り返りながら言葉を返す。そろそろ夜の食事時で盛況となる頃合いだ。
店内の忙しさを目にしたレイエは「マスター、俺は部屋に行ってるよ」と言って、立ち上がった。
「そうか、腹が減ったら降りてくるんだぞ」
「うん、ありがと」
お礼を告げたレイエは少しだけ笑みを見せ、カウンター席を後にした。
喫茶店の二階にある自宅に帰ったレイエは装備品を下ろし、作業机に剣鞘を立て掛けた。それから寝室へ行き、クローゼットから取り出した部屋着に着替えると、そのままベッドへごろりと横になった。
頭の中に過ぎるのは帰り道、ルインのことばかりだった。
今日は一日中戦闘訓練に参加していたレイエは、エンデバーグ城敷地内の屋外訓練場で過ごしており、休憩時間で城内廊下を出歩くたびに菓子包みを渡された。見知った隊仲間もいれば、初対面の隊員もいたが、「バレンタインデーなのでどうぞ!」と差し出されてしまっては断る理由はない。
── いや、断るべきだったのか?
日中を振り返ったレイエは考える。言われるがままに受け取ってしまったが、帰り際に詰め込んだ紙袋を見て流石に貰いすぎたかなという実感はあったのだ。
だから彼女に〝勘違い〟されたのかもしれない。たくさん菓子を貰って、ちやほやされて浮かれているのだと。その上、恋人に向かって「まだ貰ってない」と、強欲も甚だしく訊いてしまったものだから、余計に印象が悪くなったに違いない。
菓子が貰えないまま、夕食も共にせず帰宅すると言われたことがとてもショックだった。
── ああもう、違うんだよルイン!
つい心の中で叫んでしまう。今日のバレンタインデー、レイエが一番楽しみに待っていたものは、大好きな彼女・ルインからの贈り物だ。通りすがりの、他人から貰ったものなんて、言い方は悪いがどうでもいい。
自分にとって大事なのは、恋人ルインなのだから。
しかし、あれこれ考えたところで過ぎたことはどうにもならない。
── 疲れてきたな。少し休もう……。
訓練での疲れもあって、ぼんやりと瞼が重くなったレイエはそのまま眠りについてしまった。
気が付くと部屋の扉をドンドンとノックされる音が鳴り響き、向こう側から聞き慣れた声が掛けられていた。
「レイエ、寝てるのか? そろそろ起きて食事しに降りて来い」
アグレンツの声だ。自分を心配して直接訪ねてきたのだろう。
うっすらと目を覚ましたレイエは側らの置き時計へ手を伸ばす。見ると小時間が経っていた。いつのまにか寝入ってしまったようだ。
すっかり暗くなった部屋の中でどうにか身体を起こし、ふらついた足取りで玄関先へと向かった。
扉越しに「マスター、今行くから」と返事をすると、「店で待ってるぞ」と了解したアグレンツの声があり、その後彼は下の喫茶店へと戻ったようだった。
上着を羽織ったレイエはあくびをしながら部屋を出た。階段を下った先には喫茶店の通用口があり、そこから店内へ入る。
先まで賑やかだった場所は客数が減り、酒を嗜む者達の落ち着いた時間になりつつあった。
レイエがいつも座るカウンター席にはアグレンツが用意した夕食のプレートが置かれていた。その隣席で食事を摂る先客の姿があったが、寝起きのせいで意識が曖昧だったレイエは気にせず席へと着く。
すると、横から声を掛けられた。
「レイエ、酷い顔をしているな」
気分の浮かない彼の顔を覗き見た客は、遠慮のない率直な感想を述べる。
「え……?」
レイエは蒼い瞳を瞬かせて隣の人物を見やった。その客は黒髪から紫色の瞳を覗かせて、整然とした面持ちで鋭い眼光を放っている。
つい数時間前まで帰路を共にした隊同行者、自分の彼女だった。
「ルイン!? な、なんでいるの?」
「なんでって、ここで夕食を摂るために来たからだ」
驚愕するレイエを余所に、フォークを手にする彼女は淡々と料理を口へ運んでいる。
「夕食? 用事があるから、帰ったんじゃなかったっけ……?」
動揺したレイエは自分の記憶を手繰り寄せる。彼女は用事があるから喫茶店には立ち寄らない、そう言って帰宅したはずだった。
一体どういうこと? 話の筋道が読めないレイエに、ルインは一度食事の手を止める。そして、テーブル下の鞄からごそごそと何かを取り出しながら帰宅した理由を明かした。
「私の用事は、準備したいものがあったからだ。これを、レイエに」
ルインが見せたものは、金色のリボンが結われた赤い箱だった。広げた両掌ほどの大きさで、ほんのり甘い香りが漂っている。これはもしかして……。
レイエは迷わず聞いた。
「まさか、バレンタインデーの?」
「そうだ」
「持ってきてくれたの?」
「食事のついで、だったからな」
頬を赤らめた彼女は、少し遠回しに応えて箱を手渡す。レイエは「ありがとう」と言いながら、受け取った菓子箱をじっと眺める。
「……今、開けてもいい?」
ルインがこくんと頷いたので、レイエはすぐに菓子箱のリボンを解いた。
箱の中にはカップ型の焼き菓子が並んでいた。小さめのショコラケーキのようだ。表面に白雪のような粉砂糖が振りかけられていて、カカオの香りが甘味を誘う。思いがけない甘菓子を目にしたレイエは、美味しそうだなと素直に感じた。
じっくりと菓子を見つめる彼に向かって、ルインは言った。
「フォンダンショコラだ、少し形が悪いのは許せ。今日までに何度か練習したけど、難しかったんだ……」
「え……これ、ルインが作ったの?」
「うん」
確かに言われてみれば、菓子の一部には形崩れがあるようだった。生地表面のひび割れや中央部の窪みなど、些細なものだ。正直、素人目にわかるものではない。
「……今年は、手作り菓子を渡したいと思ったんだ」
でも難易度の高い菓子だと知らず時間が掛かってしまった。そう恥ずかしそうに話すルインを見て、レイエはしばらく固まった。
── 俺のために、お菓子を手作りしたの?
彼女が先に帰宅したのは自分の失言のせいだと思っていた。しかし、そうではなかったと知り放心する。
目の前の大好きな彼女が、自分のために菓子を作って、わざわざ家まで手渡しに来てくれた。夢でも見ているのだろうか。そんなことを思ったが、今自分が手にしたものは、彼女の気持ちが込められた形ある本物で ──。
「……嬉しいっ!」
レイエの表情がふわっと緩み、堪らず歓喜の声が零れ出た。あまりの嬉しさに、先程までひとり抱えていた不安が馬鹿馬鹿しく思える。朧げだった眠気もどこかへ吹き飛んでしまった。
少しだけ涙目になったのは、心からの感動が巡ったせいだろう。
「ありがとうルイン! すごく嬉しいよ」
「渡すのが遅くなって、悪かったな」
「ううん、作ることに時間をかけてくれたんだ。俺の方こそ知らずに訊いて……ごめん」
自分の先走った行動を恥じたレイエが謝ると、ルインは「別に、気にしていない」と若干照れたような表情で応えた。彼女の優しさに触れたレイエは「そっか」と笑みを浮かべる。
それから、開いた菓子箱をテーブルに置いたレイエは早速尋ねた。
「食べてもいい?」
「ああ、口に合うといいけど」
ルインがちょっぴり緊張するよう見守る中、レイエは箱からひとつを手に取って食べた。出来たてなのだろうか、菓子の中はほのかに温かい。とろけたチョコレートクリームは濃厚で、まったりとした甘さだ。口の中で一刻の幸せが広がるようだった。
「美味しい~! 俺の好きな甘さだよ!」
「そうか、それなら良かった」
嬉しそうに菓子を頬張るレイエを見たルインは、ふぅっと肩を撫で下ろした。慣れない菓子作りは努力をしたものの、完璧ではなかった。もっと自信を持って渡したかったと、彼女なりに秘めた想いがあった。それでも、隣の彼が喜んでくれたことに充実感を覚えて、気持ちが和んでいた。
小さな笑みを浮かべたルインは途中だった食事に目を向けて、言葉を続けた。
「それじゃあ、夕食の続きをするとしよう」
彼らのやりとりを静かに見守っていたアグレンツはにこやかに笑い、二人へ声を掛けた。
「ふふ、良かったなレイエ」
「うん」
「知ってるかルイン? 夕方ここへ帰って来た時の、レイエの表情ときたらな」
「え? あ、ちょっと……やめてよマスター!?」
アグレンツが急に悪戯心を働かせたので、レイエは赤面し、慌てて言葉を制した。自分勝手に落ち込んでいた姿は、隣の彼女に聞かれたくない話だ。
何も知らないルインは不思議そうに顔を顰めている。
「帰った時のレイエが、何だ?」
「なんでもないよルイン! ほら、早く食べないと料理が冷めちゃう」
「ははっ、そうだな。二人とも温かいうちに食べるといいぞ」
冗談の手を緩めたアグレンツはそう言うと、他の来客対応のために厨房の方へと戻った。すっかり元気を取り戻した青年を見て、もう大丈夫だろうと判断したのだ。
「……マスター、ありがとう」
立ち去る背中に向かってレイエが小さくお礼を言う。頼れる喫茶の店主はひらりと片手を振って応じるのだった。
「俺もお腹空いた」
レイエはプレートに置かれたフォークを手に取った。今夜の夕食はグリルチキンのパスタだ。サラダとオニオンスープが添えられており、まだ温かい料理の香りは食欲を十分に誘った。
先に食していた彼女が「マスターの手料理はいつも美味しいな」と話すので、「お店なんだから当然だよ」と談笑を交わしながら、少し遅めの夕食を口にした。
そして人知れず、思考を巡らせた。
最悪な日だ、勝手にそう思い込みそうになったが、今となっては〝最高に幸せなひととき〟へと変わっていた。
楽しく過ごせる今を、巡り合わせの時間を大切にしたい。そんなひたむきな想いを胸に抱く。
テーブルに置いた菓子箱と隣にいる恋人 ── ルインの横顔を眺めて、レイエは至福の笑顔を綻ばせるのだった。
- fin -
あとがき 2025/6/30
タイトル「パウダースノーショコラ」は、ルインが作ったフォンダンショコラの見た目から名付けました。
ルインとレイエのバレンタインのお話、主人公はレイエでお送りしております。男の子は本命の子から貰えなかったら、すごく落ち込みそう・・・というイメージがあり(最近聴いている音楽バンドさんの歌詞も男性目線でそういった印象が多く、その影響も受けています)、青春だなぁ! なんて思いながら書きました。
冷静そうなルインも実は内心慌てていて、レイエから期待されていることに気付き(気付くのが遅い)、めっちゃ頑張ったんですっ! 彼女の努力は見えないと思うので、ここで作者目線の補足をさせていただきました。レイエを全面に推した短編ですけど、ルインも可愛い。
Endear本編にはない二人の関係を、少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです(*^^*)
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